FLYING DISC 第4章

亜ゴング編

SEMI-GONG

ゴングにはいろいろなバージョンがあり、どれもがゴングであるので注意が必要です。 (GONG IS ONE AND ONE IS YOU) 実質的にはNEW YORK GONGはDaevid Allenのソロ・プロジェクト、MOTHER GONGは Gilli Smythのソロ・ユニットなどと言えるのでしょうが、私の分類上では、"GONG" と付くものを「亜ゴング類」(Semi-GONG)として「ソロ」とは区別 しています。"GONG"を名乗る以上、そこに何らかのゴングとしてのメッセージ性の アピールがあるからです。 主幹である「基本ゴング」を押さえた上で、これらの進化の過程を研究するのだ。


PLANET GONG/Live FROATING ANARCHY 1977 (1978)

’77年、従来のゴングがPierre Moerlenに主導権が移っていた時期に、 アレンとジリが、全く異なるメンバーを従え、 いきなり再生したパンク版GONGとも言えるようなライブ演奏である。 従来のゴングっぽさを残しつつ、パンクロックの影響が見受け られる珍作。パンクというよりも、ジャケットに書かれているように (Its da time of da banana moon again)、ゴングの前身的なバンドである Bananamoonのような指向性でアレンはやってみたかったのかも知れない。 作曲のクレジットはZero(Zero the hero:ゴング神話の主人公であり アレンの別名)とAllenとを使い分けているのも謎である。 (想像ではZeroクレジットは新作、Allenクレジットは旧作ではないかと思う。)

このバンドは適当な人材を集めて(HERE AND NOW というパンク・バンドらしい) 一時的に作られただけのPLANET GONGなのか、 純粋なゴングの作品の延長として捕らえるかはどうでもよい。互いに認めあって 同時平行にバンドが存在するのはゴングならではの所為であり、 イエスやフロイドのような権利の主張などがないのも、 まさに変幻自在なゴングという音楽集団を特徴づけているものである。 (ほとんどアレンのやりたい放題のタマモノという話もありますが・・・)

Personnel:

収録曲目:
  1. Psychological Overture(Zero)
    Radio Gnome(ゴング・イントロ)にスペース・ウィスパーとスペース・シンセを かぶせた演奏。ロケット打ち上げカウント・ダウンで次の曲へなだれ込む。
  2. Floatin' Anarchy(Zero)
    タイトル曲。かなりジャンジャカ系、アレンの歌い方はパンク風の曲である。 また演奏も荒っぽいものがあるが、中間部で聴かれるSHARPSTRINGのギターは、 かなりヒレッジのスタイルを継承している。
  3. Stone Innoc Frankenstein(Allen)
    Camembert Electoriqueあたりの雰囲気を持つ単純な構成で短い曲。実際、 アレンの70年代初頭の別バンドBananamoonに収録されている 古い曲のリメークである。 それでも再びギターソロはスペイシーさが漂う。
  4. New Age Trans Formation Try:No More Sages(Zero)
    シンセとグリッサンド・ギターによる ニューエイジ・アンビエント風の音をバックに ジリの詩の朗読とスペース・ウィスパーが続く前半部分から メドレーで変化していく。続くアレンの歌の部分は曲調、 メロディー、雰囲気共に"You"後半のメドレーにかなり似ている。 後半の"IOA CHANT"風リフはまるっきりスティーブ・ヒレッジのソロ風だ。 なかなか見事なコーラスワークだ。 かなりトランスしたところでアップテンポなエンディングを迎える。 この入り方は、後でテープ編集したかのように、不自然である。
  5. Opium For The People(Allen)
    2,3曲目あたりに似た、再びパンクロック風の歌に女声コーラスと叫びが絡む。
  6. Allez Ali Baba Blacksheep Have You Any Bull Shit: Maya Mantram(Zero)
    ディレイをかけたギターリフにゆったりとアレンの印度発声とジリのスペース ウィスパーが加わり、アフリカ風コーラスのリフから即興的なスキャット、 アップテンポなリズムが加わり、アラビア・フレーズによるスペイシーな クライマックスを迎える。このアルバム中、"No More Sages"と並び、 最もGONGっぽい曲。エンディング近くで"YOU"の後半メドレーの 1フレーズが挿入されている。

NEW YORK GONG /ABOUT TIME(1981)
(DECAL/Charly CD LIK 73)

テーマ:ニューヨーク・アヴァンギャルドとの出会い及び80年代ニューウェーブ への対応。

1980年(79年末か?)、アレンは最後のフロンティア、アメリカに渡る。 ニューヨークでビル・ラズウェルと制作したのがNew York GONGで ある。ゴングといってもサウンド的にはクラシック・ゴングとはかけ離れたも ので、分類上は亜ゴングとしたが、プラネット・ゴング同様、実質的にはアレ ンのソロ・アルバムと考えた方が良い。 Planet Gongがパンク・バージョンと すれば、こちらはジャケットにも書かれているように(El Alien's New Wave Dispensation)、原初的ニューウェーブ・バージョンである。

Personnel:

収録曲目:

  1. Preface(Allen/Beinhorn)
    アレンの得意技、「手動唇トレモロ話法」もエフェクターで実現、 デジタルな雰囲気でNew York Gongを印象づける短いイントロ。
  2. Much Too Old(Allen/Laswell)
    ゴングと呼ぶにはあまりにもスマートでカッコ良すぎる。
  3. Black September(Allen/Cultreri)
    歌い方にパンクロックっぽさを感じる。 ここまでメドレーで一気に繋げられている。
  4. Materialism(Laswell/Cultreri)
    ラズウェルのマテリアルは、ここが原点だと思われる。 ホールトーンを主体とした緊張感あふれるインストルメンタル・ナンバー。
  5. Strong Woman(Allen/Bacon)
    ボブ・ディラン風な歌い方が笑いを誘う。後半はアレンのフリースタイルのスキャット で、ややゴングっぽい雰囲気になっている。
  6. I Am A Freud(Allen)
  7. O My Photograph(Allen)
    9分間のアルバム中最長曲。ピアノのリズムのずれが非常に気になる。 後半はアラビア風アンビエントな瞑想曲となり、グリッサンド・ギターが うねるのだが、そのデジタル・ディレイのかかった音色に80年代を感じる。
  8. Jungle Windo(w)(Allen)
    これは、タイトルは異なるが、オムニバス・アルバム "Camembert Eclectique" にて その存在が明かとなった、1970年初頭の頃の曲 "Big City Energy" の80年代版 である。しかし音自体はあまり80年代ではない。Didier Malherbe に代わり、 Gary Windoのテナーがフィーチャーされている。 マレルブのまろやかな音に対して、このサックスはかなりフリーキーで 耳に鋭く突き刺さる。
  9. Hours Gone(Allen) 最後の曲は、曲相としてはPlanet Gongに近い。


PARAGONG/LIVE '73 (1995) (A GAS CD 002)

’73年、アレンとジリがバンド全盛期にもかかわらず、一時期ゴングを 抜けていたとき、残ったメンバーによりツアーは続行され、これ はその頃のライブ演奏である。

Personnel:
Steve Hillage,Pierre Moerlen,Tim Blake,Mike Howlett,Didier Malherbe

  1. Camembert Psilocybin Flashback
  2. Porquoi Dormons nous?(The Gnome Rock Dospensation)

GONGMAISON

GONGMAISON/same (1989)
(DeMi Monde DMCD1022)
ゴングメゾンは、クラシック・ゴングの主要メンバー2人、アレン、マレルブが 参加し、おなじみの曲を再録したりしており、明かにゴングの延長線上のバンド である。しかし’71〜’74年頃のクラシック・ゴングとはコンセプト的にも 全く異なる方向性を持ち、サウンド的にもかなり異なるものである(ワールド ミュージック風のアプローチが感じられる)。あまり考え たくはないが、よりアコースティックでシンプルで落ち着いた音となったのは、 アレンらが歳を取ったせいもあるのだろうか。もはや、あの70年代のサイケで 訳がわからないおもしろさや、演奏面でのやや前衛的な即興性やスペース・トリ ップ感はほとんどなく、どちらかと言うと90年代のシェイプシフター・ゴング に通じるものがある。

Personnel:

Frontside
  1. Flying Teacup (Allen)
    "Flying Teapot"の焼き直し版。 80年代の新たなリスナーのために、ゴング神話のあらすじが語られる。 ワナンダが最初のリフでヴォーカルをとり、その後スペース・ウィスパーもやっている。 言ったら悪いが、やはりスペース・ウィスパーは若い女性の方がいい。 ここにひとつの世代交替を感じるが、アレンは相変わらずなのである。 ダンス・バージョンとなっているのでメイン・リフの繰返しのみが延々と続き、 構成的には非常に単純化されており、またマレルブのサックス・ソロがあまり入 っていないのが残念。
  2. 1989 (Williamson)
    歌はアレンが歌っているが、Harry Williamsonの曲。何とレゲエだ。 マレルブのバリトンサックスがイカシている。
  3. Titti-caca (Allen)
    このあたりがゴングメゾンの代表的なサウンドと言えましょうか?アコースティック な民謡調の曲である。タイトルからは南米を連想するが、ヴァイオリンやタブラにより インド風でもあり、ケルト風、アフリカ風などの感じも含まれ、どこの民謡か特定がで きない。まさに各人の個性が溶け合った全地球的な雰囲気。
  4. Tablas Logorythmique (Maitra)
    マイトラによるタブラ弾き語り?。
Backside
  1. Negotiate (Allen)
    14分近い大曲。 アレンのソロにありそうなアコースティック・ギター弾き語りで始まる。 アレンのスキャットに掛け合う、クラークのヴァイオリン・ソロが堪能できる。 彼のスタイルは完全にジャズ・ヴァイオリンである。 中間部はバンド演奏で”ネゴーシエイト”コーラスのリフにサックス・ソロが載る。 後半は再び美しいアコースティックな曲調となる。
  2. We Circle Around (Trad.)
    この曲も単調なリフのコーラスが主体となっている、どこのものか不明であるが民謡 をアレンジしたもの。
  3. Flying T Dance Mix (Allen)
    このトラックはCD化に伴うボーナス・トラックと思われる、 "Flying Teapot"のダンス・ミックスである。 今聴くとかなり原始的なリミックスではあるが、そういえばあの当時から、こういう ミックス版を12インチのB面に入れるってのが流行っていたことを思い出した。 後半からは、かつてのゴングな雰囲気でスペイシーに引っ張っている。


GONGMAISON/Live at the glastonburry festival 1989 (1995)


MOTHER GONG

FAIRLY TALE/MOTHER GONG (1994)
(CHARLY SPALAX CD 14813)

Personnel:

収録曲目:
  1. Wassilissa
  2. The Three Tongues
  3. The Pied Piper
MOTHER GONGとしてのファーストと言われている。組曲形式3曲入り。全体的にはひところのジェネシスを思わせるような、英国風牧歌的でアコースティックな音の上で、スミスのメルヘンが語られていきます。スペース・ウィスパーはほとんどありません。(ゴング・イントロみたいな、ジリの妖精ヴォイスは頻繁に出現するけど)うねうねギターや長大な即興演奏もほんのチョットしかありません。ただただ淡々とメルヘンです。歌もなし。ただ詩の朗読です。でもディディエ・マレルブの管が入っているので部分的にGONGっぽくなったりするところもありますので(組曲1曲目の5番目"Flying"などは、"You/GONG""Isle Of Everywhere"にかなり近い)、これで我慢しといてちょー。(マイク・オールドフィールド風の演奏もある。) クレジットには、
Composed by Gilli Smyth

とあるのですが、ほんまかいな。確かに詩は全部そうでしょうけど。(一方ではHarry Williamsonとの共作の表示もある。ジリの正式な夫?)またAMON DUUL II、HAWKWINDの Dave Andersonがエンジニアってます。

で、物語はどんな内容の話かと言うとですねぇ、聞かんといてくだされ。エゲレスの言葉は日本語以上にわかりませんので。そのうち日本盤が出ることでしょう。

といい加減なことを書いてますが、全体の雰囲気は非常にCOOL!で、いいと思います。


MAGENTA/SHE MADE THE WORLD/MOTHER GONG (1993)
(VoicePrint VP134CD)

ヴォーカルが入ってないので真実は不明であるが、クレジットではデヴィッド・アレン が参加している大作(?)曲、"Magenta"と、Mother Gongの何作目かの作品である"She Made The World"のカップリング・アルバム。

  1. Magenta
    Allem,Smyth,Williamsonのトリオによる多重録音で、ドローン(通奏低音:具体的には シンセだと思われる)のゆったりしたウネリに乗せてSmythの詩の朗読が30分以上に 渡り延々と続くアンビエント風の作品。所々Williamsonのシンセ・フレーズが入り、 もちろんバックにSmythのスペースウィスパーも取り敢えず添付されたりしているが、 非常に冗長な作品。
  2. Water
    打ち込み的デジタル風味あるいはアンビエントなシンセにSmythの詩の 朗読と即興的なサックス・ソロが被さると言うMother Gongの典型的なスタイルの曲。
  3. She Made The World
    こちらはアコースティック・ギターとテナー・サックスのデュオをバックにしたもの。 途中からWilliamsonのヴォーカルになる。
  4. The Weather
    中間部のサックスがウェイン・ショーターを思わせるのは意図的だろうか?
  5. Malicious Sausage
    ここでのバックの演奏はフリージャズしている、非常に短い曲。
  6. Sea Horse
    インスト曲。ここではSmythはスペース・ウィスパーを演奏(?)。
  7. Spirit Calling
    再びアヴァンギャルドなフリージャズ風となる。
  8. Tattered Jacket
  9. Waipu
  10. When The Show Is Over
    このあたりまでくると、普通の人は飽きてくるはず。
  11. I Am A Witch
  12. The Spirit Of The Bush
  13. Blessed Bee

アルバムは全体的に、かつてアレンが影響を受けた、 ビート詩人のジャズをBGMにしたポエット・リーディングなスタイルに アンビエント風味が加わった、Mother Gong独特の世界が煮詰まったという感じで、 スペース・ウィスパーも宇宙的な感じではなく、非常にアコースティック で落ち着いた音世界を構築していると言えよう。

Executive Production: Robin Healing
MAGENTA:
Daevid Allen:drone
Harry Williamson:Synthesizer
Gilli Smyth:vocals

MOTHER GONG:
Robert Calvert: ts,ss
Robert George: ds,perc
Conrad Henderson: b
Harry Williamson: syn,g,vo
Gilli Smyth:vo,Space Whisper

MOTHER GONG/LIVE 1991 with special guest TOM the POET
(1991)

The Owl & The Tree/Daevid Allen,Gilli Smyth,Harry Williamson,Wandana Narrowheart
Demi Monde(CDTL012)
このCDの(裏)ジャケではGONG名義であるが、内容的には完全にMother Gongです。困るねえ、こういう 風にいい加減に気安く勝手に「ゴング」と銘打たれては、知らずに買った方が困惑するではないですかぃ。 まあそれが作戦だといわれたらしょうがないですが。オモテジャケの絵はアレン氏のものでしょうか? タイトルは多分そうでしょうが、この擬人化した木はいったい何だ・・・。オーストラリアに根をはった ジリとハリーが木になって手をこまねいて、ふくろうアレンがやってくるのを待っているというような・・・

  1. The Owly Song
  2. I Am My Own Lover
  3. I Am A Tree
  4. Lament For The Future Of The Forrest
  5. Hands
  6. Unseen Ally
  7. La Dea Madri
  8. Tudor Love Poem

Radio Gnome in Japan
Copyright(C)1997 by Yochim
Last modified on Aug.14,1997